タイトル: ヒッグス結合と重力波スペクトルによる強い電弱一次相転移の検証 アブストラクト: 宇宙のバリオン数非対称性を説明する電弱バリオン数生成のシナリオでは、電弱 相転移が強い一次相転移であることを要求する。標準模型に新たなヒッグス二重 項場を1個追加した、簡単な拡張ヒッグス模型ではSM-likeヒッグス三点自己結合 が大きくなる時に、有限温度によるループの効果で強い一次相転移の要求を満たす。 その一方で、標準模型に実一重項スカラー場を1個加えた拡張ヒッグス模型では、 ツリーレベルの混合角が電弱相転移に寄与する。このことはフェルミオンとゲージ ボソンに対するSM-likeヒッグス粒子の結合が強い一次相転移に関係することを示す。 以上から加速器実験により強い電弱一次相転移は検証できる可能性があると言える。 一方で相転移が一次的の場合、その相転移由来の重力波が生じることが知られている。 本講演では、重力波スペクトルとヒッグス結合の相乗効果を通じて、1個の実一重項 スカラー場の拡張ヒッグス模型における一次相転移の実現可能性について議論する。