タイトル: すばるHSCの銀河カタログを用いた銀河周辺ガスの統計的研究 アブストラクト: 銀河は、ダークマター、星、ガスから成る天体であり、その進化発展を議論 するにあたり、ガスは重要な役割を担っている。銀河周辺のガスの物理には、 重力相互作用に加え、原子や光子の間での衝突・散乱過程や星やAGN、衛星銀 河からの影響も寄与するため、非常に複雑である。そのため、銀河周辺ガスの 理論的解明は一般に困難であり、観測的にその分布や銀河の物理量への依存性 などを調べ、性質や銀河との関係を探ることが重要である。 ガス雲は可視光 では非常に暗く、望遠鏡での観測が難しいため、クェーサーの吸収線系により 同定される。最近では、大規模観測により得られたクェーサーと銀河のカタロ グを用いて、クェーサー吸収線系と銀河の相互相関が調べられている。先行研 究では、Sloan Digital Sky Survey(SDSS)の銀河カタログとクェーサーの吸収 線系を用いて銀河とMgII吸収線系の相関関数が調べられた。しかし、SDSS の 銀河カタログは浅いため、その研究は z∼0.5 に限られていた。そこで、我々 は、現在進行中のすばるHyper Supreme-Cam(HSC)による深い銀河サーベイの結 果を用いて、銀河と MgII 吸収線系の相関を調べた。その結果、z=0.5-1.5で 銀河-MgII 吸収線系の相関を十分な統計精度で見ることに成功した。そして、 銀河-MgII 吸収線関係の赤方偏移進化や物理量(銀河の光度や種類など)への依 存性を議論した。本セミナーでは、銀河周辺ガスの研究の簡単なレビューと我々 の研究の結果について発表する。