タイトル:
むりかぶし望遠鏡を用いたスターリンク衛星の光害に関する研究

アブストラクト:
アメリカ合衆国のSpaceX社は巨大衛星通信網を用いた高速
インターネットサービスの充実を目的として, スターリンク衛星
を開発した. 最初の60機は2019年5月に打ち上げられたが,
その総数は2020年代中頃には12,000機に達する見込みである.
これらスターリンク衛星は高度550 kmの低軌道 (low Earth orbit,
LEO)をを周回しており, 衛星の太陽光の反射による天文観測や
景観への影響が問題となっている. この懸念に対し国際天文学連合や
国立天文台を始めとする世界の天文台は声明を発表しこの問題を
共有した. この声明を受けてSpaceXは衛星表面に黒色塗装を施した
ダークサットを1機開発し, 反射軽減の試験を行なっている.
国立天文台(石垣島天文台)の試みとして, 105 cmむりかぶし望遠
鏡/MITSuMEの3色同時撮像(g:緑, Rc: 赤, Ic: 近赤外)によるダークサット
及び無塗装のスターリンク衛星の等級測定を行い両者の明るさを比較し
た. 結果として, ダークサットは無塗装のスターリンク衛星に比べて
2倍程度反射光を軽減しており, 長波長ほど 明るくなることがわかった.
しかしながら, ダークサットの等級は6-7等級と いまだに観測への影響が
無視できる明るさではなく, さらなる反射光対策が望まれる. 本講義では
スターリング衛星の現状, 等級の測定, 将来について述べる.