スピーカー:竹内 康太 (広島大D2)

タイトル:高次元ゲージ理論におけるオービフォールド境界条件の包括的分類とその意義

アブストラクト:
 "もしも余剰次元が存在するなら、標準模型はどのように修正されるだろうか?"
 弦理論で余剰次元の存在が示唆されていることから、余剰次元による標準模
型の拡張は理論的に重要な課題となる。特に高次元ゲージ理論は、標準模型の
未解決問題である階層性問題や世代数問題などの解決にも寄与すると期待され、
現象論的にも活発に研究が進められている。その中で、余剰次元方向の場の境
界条件は物理の決定に深く関わるが、無数の候補が存在し、その選択が理論の
結果に影響を及ぼす。これは高次元理論の豊かさを示す一方で、境界条件の選
択に恣意性が生じる「境界条件の任意性問題」という根本的な課題を引き起こす。
 この問題に対処するためには境界条件の体系的な分類が不可欠である。本研
究では、境界条件の包括的な分類を実現するための新たな枠組みを提案する。
境界条件はゲージ変換によって同値なクラス(同値類)を形成することが以前か
ら知られていたが、その分類は特定のゲージ変換に依存する不十分なものに留
まっていた。我々は「トレース保存則」に基づくゲージ不変な保存量を導入す
ることで、SU(N)およびSO(N)ゲージ群をもつ全ての1次元・2次元オービフォー
ルド模型における境界条件の包括的な分類に成功した。
 同値類分類の達成は高次元ゲージ理論の全貌の解明につながり、境界条件の
任意性問題の解決に向けた基盤を提供してくれる。本発表では、分類の詳細と
その物理的意義、今後の展望について議論する。