スピーカー:笹倉 直樹 (京大基研) タイトル:ランダムテンソルの固有値・固有ベクトル分布 — 場の量子論による計算 — アブストラクト: ランダムテンソル模型は90年に量子重力の模型として導入されたが,最近,データ 解析や量子情報理論など近代技術の数学分野への進出が面白い.例としては,ランダム テンソルの固有値・固有ベクトル分布関数があり,これはNP困難として知られるデータ 解析におけるテンソルのランク分解や量子情報理論における量子エンタングルメント の幾何学量と直接関係する.実対称テンソルの実固有値分布は,Spherical p-spin modelと呼ばれるスピンガラスの模型のエネルギー準位のcomplexityと等しいが, 2010年に行列模型により計算されたものの,それ以降,他の分布への拡張は行列模型 では技術的に困難でありなされてこなかった.本講演者は,2022年に場の量子論の 分配関数によりランダムテンソルの固有値・固有ベクトル分布が系統的に計算できる ことを示し,これまで様々な場合に計算を行った.今後も様々な拡張や発展が見込ま れる.本セミナーではその現状と,例として,複素ランダムテンソルの固有値分布の 計算およびエンタングルメントの幾何学量への応用を説明する.