スピーカー:高橋 歩美 (国立天文台)

タイトル:遠方宇宙における超巨大ブラックホールの質量分布推定と活動性の調査

アブストラクト:
銀河は中心部に太陽質量の100万-10億倍にも及ぶ超巨大ブラックホール
(SupperMassive Black Holes: SMBHs)を宿す。SMBHはその質量故に莫大なエネルギー
を放出し宇宙で最も恒常的に明るく光るので、非常に遠くの宇宙でも観測することが
できる。銀河とSMBHsは空間スケールがおよそ10億倍も異なるにも関わらず、両者は
互いに”共進化”を遂げていることが知られいる。すばる望遠鏡やJWSTなどによっ
て宇宙年齢が10億年も満たない初期の宇宙でおよそ300天体ほどのSMBHsが発見されて
いる。これらの観測的事実は宇宙誕生からわずかな間でいかにしてこのような大質量
天体が形成されたのか、母銀河とどのように相互作用してきたのかという宇宙物理学
上の大きな疑問を投じます。この大きな疑問へのアプローチの一つとしてはなるべく
遠くの宇宙で、なるべく多くのSMBHsを見つけ、最も基本的な観測量であるその明るさ
や質量、その他のスペクトルの特徴などを測定することが重要である。今回のトーク
では、初期宇宙で発見された約160天体のSMBHsのブラックホール質量分布の推定研究
と、現在進行中の高速な風を吹かしているSMBHsの割合調査について紹介する。また、
2025年度春から本格稼働を予定しているすばる望遠鏡の多天体分光装置:PFS について、
pipeline開発の現状と計画しているPFSを利用したSMBHsサイエンスについても簡単に
紹介したい。