スピーカー:松原 隆彦 (KEK)

タイトル:宇宙の大規模構造解析における数理的側面

アブストラクト:
宇宙の大規模構造は、宇宙全体の起源に関する情報を豊富に含む観測対象であり、
私たちの住んでいる宇宙の驚くべき性質を明らかにしてきました。これまでの観測は
主として地上望遠鏡によって行われ、観測技術の進歩とともに三次元的な宇宙構造が
着実に解明されてきましたが、なお観測の及んでいない領域も広く残されています。
今後は、観測衛星の活用が進むことにより、さらなる大きな発展が見込まれています。

本講演の前半では、宇宙の大規模構造の発見から現代の観測に至るまでの経緯、その
基礎的な性質、そこに含まれている宇宙論的情報に加え、宇宙論の現状と今後の展望
について大まかに述べます。後半では、私自身の研究に基づき、非線形摂動論を用いた
宇宙構造の相関解析に対する一般的な枠組みについて議論します。とくに、スカラー
やベクトルを含む一般テンソル量で記述される天体分布の空間相関に対して、二次元
および三次元の回転群の既約表現に基づき、回転不変となる観測量をどのように構成
するか、そしてそれらを摂動論によってどのように予言するかという新しい方法論の
概略を紹介します。